離島60めぐり---第13訪島(2)

 喜界島(きかいじま)

●奄美群島
_鹿児島県 南の海に浮かぶ歴史と美女悲話の島

奄美大島から東へ25キロメートル、空路15分。喜界島に伝わる天女の伝説を紹介しておきたい。


ムチャ加那をしのんで建立された『ムチャ加那の碑』が女性的な雰囲気をかもしている。

日本の島再発見_鹿児島県_奄美群島_喜界島_「島育ち」の歌で有名なムチャ加那の碑
「島育ち」の歌で有名なムチャ加那の碑

これは、まだ薩摩(鹿児島)が琉球王国(沖縄)を征服していた頃の話。


世にもまれな美女、マショカナという女性が住んでいた。
ムチャ加那はその娘で、母親同様の美しさだったために、村の女たちは嫉妬して、彼女を荒海の打ち寄せる岩場に誘いだし、海に突き落としたと伝えられている。


いつの時代でも女のジェラシーは恐ろしいという“定説”を、こんな離島であらためて教えられるとは思わなかった。


♪赤いソテツの 実も熟れる頃 加那も年頃…田端義夫の『島育ち』はこの美女の悲話を歌ったものだ。

日本の島再発見_鹿児島県_奄美群島_喜界島_「島育ち」を口ずさむ筆者
「島育ち」を口ずさむ筆者

そのムチャ加那の碑のすぐそばに『望郷の碑』がある。
小野津(喜界島の北端)で生まれ、大志を抱きそれぞれ本土の各地に雄飛していった島の若者たち。
しかし、志し半ばで挫折し不本意な生活を送った若者もいた。
どんな境遇でも、みんな出身地の発展を思い「いつの日か再び小野津の空に来たらん事を祈る」と刻まれている碑文を読んでいると、私のような年代は万感胸にせまり、熱いものがこみあげてきた。

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