2008年6月20日読売新聞掲載記事

世界70島手助けの旅


還暦機に大阪の池内さん夫婦
「新たなスタートに」小学校訪ね寄付

 

還暦を機に人生の新たなスタートを切ろうと、世界の島々を巡っては小学校を訪ね、備品などの寄付を続けている夫婦がいる。

大阪市天王寺区の経営カウンセラー池内嘉正(よしまさ)さん(68)とミドリさん(61)。

嘉正さんは貧しかった少年時代の経験から「何か役に立ちたい」と言い、70歳までに70島巡りを目標にしている。


55番目・韓国の膨陵島に出発


20日午後には55番目となる韓国・鬱陵島(うつりょうとう)を目指して関西空港から旅立つ。


嘉正さんは還暦を8か月後に控えた1999年1月、「第二の人生の出発点にしたい」と日本の60島巡りを開始。

1年4か月かけて達成すると、今度は「世界の島を訪ねたい」と思うようになった。


70島巡りは2002年8月、北極点と周辺の島から始まり、これまでにアフリカのマダガスカル島、南米のガラパゴス諸島など、あまり観光地化されていない場所を選び、年間約10島のペースで巡っている。


嘉正さんの子ども時代は、父の給料日以外は、」飯、みそ汁、タクアンだけで、おかずはない生活。

近所の人がふかしたイモを持って来てくれたり、しょうゆを貸し借りしたりと「助け合いの中で育った」。

それだけに島で暮らす子どもたちの様子が気になり、小学校を訪ねては、身ぶり手ぶりで「役に立てることはないか」と聞いて歩いた。


07年5月、インド洋のセーシェル共和国のプララン島を訪れた際は、音楽を教えている日本人女性と出会い、楽器が足りないと知り、帰国後にトライアングルやカスタネットを送った。

フィリピンのラゲン島では校舎改修に必要なセメントの購入費を寄付した。


30歳代半ばに初めて渡った沖縄・石垣島で島の魅力に触れた。

雄大な自然、そこに住む人たちの豊かな人情。

「初対面の人に出会うような期待感と楽しさがある」と言う。
57歳で経営していた会社を後進に譲り、本格的な島巡りを始めた。


ゴールは南極と周辺の島々。
70歳を迎える来年達成する。
二人は「どの島でも子どもたちの目は輝いている。ささやかだが、子どもたちの手助けをしながら旅を続けたい」と話している。

これから訪ねる韓国での日程表などを確認する池内嘉正さん(左)と妻のミドリさん20日午前、大阪市天王寺区の自宅で)=上田尚紀撮影
これから訪ねる韓国での日程表などを確認する池内嘉正さん(左)と妻のミドリさん
(20日午前、大阪市天王寺区の自宅で)=上田尚紀撮影