2024年12月 2日(月) 20:53 JST

アメリカ合衆国 シシュマレフ島とは

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アメリカ合衆国 シシュマレフ島(49島目)

 シシュマレフ島

アラスカ州

アメリカ合衆国

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20079月12日―16

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地球儀

シシュマレフ島

アメリカ合衆国

国  名  アメリカ合衆国 アラスカ州 
人  口  600人
エスキモー人
アクセス  関西ーバンクーバー 9時間35分 
 バンクーバー-アンカレッジ3時間25分
アンカレッジーノーム1時間30分
 ノームーシシュマレフ  40分      
通  貨  USドル(1ドル109円07年11月現在)

アメリカ合衆国 シシュマレフ島_プロローグ

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アメリカ合衆国 シシュマレフ島(49島目)

シシュマレフ空港で二人の荷物を軽々と運ぶ

リチャードの娘さんのステイシー

シシュマレフ島

一攫千金を夢見る男たち

ノームの犬ぞりレース

アンカレッジからノームまで1200Kmの犬ソリレースゴール地点

ノーム

カリブーの角はエスキモーの勲章

空港からの一本道

リチャード家の入口で記念撮影の小鉄

島に近づくと青空が見えてきた

夏はサンドバギー冬はスノーモービル

リチャード家の入口

ノームからシシュマレフ島へ向かうセスナ

シシュマレフ島

ロシアの先端まではわずか200km
 
北端のウエルズからは
100kmで
肉眼でも見える距離である

私は写真家「星野道夫」氏が過ごした
北極圏の島のことを知り
何が何でも行って見たくなった

島には宿泊施設も食堂もない

 あらゆる旅行社からの返事も

「NO」

シシュマレフ島
シシュマレフ島

北極圏の生活とは一体どんな暮らしが
待ち受けているのか興味が湧く

滑走路だけの空港に,迎えのトラックと
日本製のサンドバギーが待っていた

島で最初に出会ったのが
リチャードの三女の

「ステイシー」(
26)とは不思議な縁である

同便でノームへ出かける為
セスナを待っていた
美人のエスキモー人がその人である。

乗り継ぎのノームでは6時間の待ち時間があり
お陰で町を探索する事が出来た

定刻の530分にセスナは飛び立った 

折から降り出した雨に視界はゼロ

先行き心細い旅の始まりである

しかし島の上空にさしかかると
天気も回復し
,島の姿が現れた
 
旅は天の味方が必要だ

今から34年前の1973年に一人の日本人が
エスキモーとの
3ヶ月の生活を体験している。

冬はマイナス40度~50度のフリーザーの
世界であり
, 4月から8月は

白夜で太陽は沈まない

北緯66度の北極圏の9月は

強風が吹き荒れることも知らずに島を訪れた

最も良い季節は
6月から8月で
気温も
15度前後まで上る事を現地で知らされた

取材で訪れた日本人は寝袋持参で
体育館や教会で宿泊するのである 

私たちは幸運に恵まれ
,
エスキモー人と生活を共に出来る機会を得た

通常ルートは関西-成田-シアトル-アンカレッジ
-ノーム-シシュマレフ島のルートを取る

関西からは成田での乗継が悪く
カナダのバンクーバーを経由した

アンカレッジでB&Bを経営する

加藤さんが唯一望みを繋いでくれた

彼はメディアのガイド役として

島を訪れた経験者だからである

やっと吉報が届いた宿泊先は

「リチャード家」と言うだけ…。

米国・ロシア国境のベーリング海峡に近い

アラスカの西部に位置する

地球の温暖化で沈み行く島として

一躍
,脚光を浴び,世界的に有名になった

「シシュマレフ島」はロシア語である

エスキモー語では「キギタック島」と言う

登場人物 

リチャード・エドウィン スタセンコ(65)宿泊先の主人 教師


リチャード・ワレック スタセンコ (61)奥さん

長男 デニス(39)なめし工場のマネージャ・空港職員・ハンター    

長女 メリー(30)幼稚園の先生 次女ケイト(29)

三女ステイシー(26)9月22日結婚

ロビー・ニンゲツ(40)デニスの友人・大工・船の持ち主

ロードリック(6)メリーの長男 ハリー(2)メリーの次男

ジョイ・ブラック 校長先生 唯一の学校(3歳~18歳)185人
 

運転はリチャードの息子デニス(39,
宿泊先のリチャードの(65)の名を告げると
5分も掛からず到着 

その日は「
911日」,
ニューヨークのツインタワーが
テロにより崩れ落ちた日である

テレビは当時のツィーンタワーの
映像を何回も映し出している。

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プロローグ

アメリカ合衆国 シシュマレフ島_ロシアとアメリカの国境にある砂の島

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アメリカ合衆国 シシュマレフ島(49島目)

エスキモーの老婦人

町の中で鳥を撃つ子供たち

サンドバギーは島の唯一の乗り物

島民と談笑する筆者

エスキモー犬

島の子供と小鉄

筆  者

アザラシの毛皮の室内履き

アザラシの肉は自然乾燥

カリブーの毛皮

島には一人の警察官・昔のポリスボックス

廃  屋

サンドバギーに乗る筆者

砂の道路

ファミリーはとても仲が良い
朝食も夕食も実家に集まって来る 

子供も素直に育ち
日本のひと昔前のような家族愛がある

この島がドライの島とは知りまへんでした 
何処へ行ってもビールどころか
アルコール類の販売は禁止 

島へ持ち込む事すら出来ないのに
何も知らずに持参してしまった

ポータブルトイレは清潔に保たれているが
水も紙もムダには使用できない

深夜に及ぶまでリチャードが

水を運び大きなタンクに貯蔵している

その様子を見ていると
トイレの使用回数も減らし

,
常に我慢しているので体調までおかしくなる

衣服はアザラシの毛皮の手作り
 
長靴も少々重たいが保温力は抜群である

靴の中にもアザラシの毛皮が使われている

食事の器はプラスティック
陶器の皿もあるがめったに使わない 

水の方が貴重品である為
,

使い捨て容器を使用する 

生活用水の雨水は
シャワーや洗濯用水に使用され
,

ポータブルトイレは
バッテリーで排水されている 

温水が出るだけでも有難いが
貴重な水で毎日シャワーを使うのは気が引ける

マイナス50度の世界を
生き抜くエスキモーのバイタリティーと
生命力には驚く事ばかり

水一本が(600cc)が350円もするから驚きまっせ
島民の飲料水は夏場には雨水を利用する 

ミネラルウォーターなんかはめったに口にしない
 何しろ水は貴重品 
大型商品は年一回の輸送船で運ばれてくる

冬には北極圏の海は氷結する 
温暖化で海氷の解けるのも
数ヶ月早くなったとか……

冬場の飲料水は2030km離れた
本土の湖から氷塊を切り出し
飲料水として貯蔵する

細長い島の夏は
サンドバギー(日本車)が活躍する

冬はスノーボートに変わり
冷凍庫の温度で生活をしている

島でたったの二軒のスーパーには
数少ない野菜類が並べられている

対岸の本土からセスナで運ばれてくるので
物価の高いのは当然だ

地球温暖化で島は沈み行く運命にある

砂の道は兎に角歩きにくい
 唯一の交通手段はサンドバギー。

島民は皆,愛想が良く笑顔で手を振って走り去る

実際バギーに乗ってみると

手を上げるどころか振り落とされないように
必死でしがみ付いている 

その上クッションも悪い

20年前に酒の上でのトラブルがあり
それ以来法律で禁止されている

そんな事も知らずお土産に

ワインを持参したが
,笑って受け取ってくれた

もちろん自分で飲む事はせず教会へ寄贈された。

気の置けない家族同然の暮らしは
ここが北極圏であることすらも
忘れたしまいそう……

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ロシアとアメリカの国境近くにある砂の島

アメリカ合衆国 シシュマレフ島_リィチァード・エドウィン・スタセンコ家

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アメリカ合衆国 シシュマレフ島(49島目)

ゴッドマザーと小鉄(女房)

三女のステイシー

筆者とリチャード

奥さん

小 鉄

メガサイズのチョコレートケーキ

次女のケイトの手作りのチョコレートケーキ

もうこれで終わりかと思っていたら次女のケイト(29)夫婦が登場 
手には大きなチョコレートケーキ 

子供たちは今まで食べていたのを忘れたかの様に新しいケーキに次々と手を出した
陽が落ちるのは午後の10時頃
,笑い声の絶えないリチャード家の晩餐は
夜遅くまで続いている……。

」お世話になったベッドルーム

エスキモーのアイスクリーム「アグト」

贅沢な三種類のベリーケーキ

アザラシの乾し肉

珍しい皮クジラ

キングサーモン

小学生の教室で

体育館の小学生

学校で遊ぶロドリック(右)

中学校の授業風景

メリーと園児たち

ラーメン大好きなロドリック

ハリー(2)とお母さんのメリー

リチャード

筆  者

リチャード家の入口

もうひとつはエスキモーのアイスクリーム
「アグト」 
初めて見る一品に興味津々

三種類のベリーをすり潰し,
カリブーの脂身と水を混ぜ合わせて完成

これは何とも不思議な味がした 
今までに食した事のない味覚に舌が戸惑っている

エスキモー人にはたまらない味だろうが
私たちは少しだけで遠慮した

何もかも初めてづくし美味珍味 
お次はデザート 
エスキモーのデザートは摘みたての果実である

ブルーベリー・サーモンベリー・
ブラックベリー・の
三種類のケーキは少し酸味が強い 

エスキモースタイルはその上に
砂糖をたっぷりとかける 
味はなかなかのもの

大阪の孫にも食べさせてやりたいものだ

お祈りをして超豪華な食事が始まる
今夜は「キングサーモン」のオーブン焼き

脂の乗りが旨味の違いを引き出してくれる 

デッカイ切り身を小鉄はペロッと平らげ
満足の行く笑みがこぼれている 

一流レストランでも味わえない食材だ 
珍味は「皮クジラ」日本では
手に入らないほどの逸品 
ピンク色をしている皮下脂肪の部分は
柔らかくて弾力がある

噛むほどに旨味が口中いっぱいに広がる 
贅沢な食卓に持参の醤油が活躍する
 本当に美味しい 

しかし洗顔と歯磨きは大変である
全員同じ洗面器に指をつけ目頭を濡らす程度である

歯磨きはコップ一杯の水で
うがいから歯ブラシの洗いまで全てを済ます

水は貴重品の為仕方がない
 それでも何不自由のない生活だ

夕食は6時から始まる 
ぼちぼちシャワーでもと思っていると

階下から声が掛かる「YOSHI」
皆が待っているから降りて来るように……

エスキモー人の食卓は

天然の魚や野性の肉で食卓が賑う 

朝食は焼きたてのパンケーキに
ベーコンと目玉焼き。 

ベーコンはオーブンで焼くので
カリカリに焼きあがっている

自宅で食事をしているのと何ら変わらない

初めは二人とも人見知りをして近寄らなかった 
私の孫と同じ年のロドリックは

日本語で名前の書き方を教えてあげると
親しみを持ってよく話してくれる

麺類が大好きな子で一日に
インスタントラーメンを
4個も食べる時がある

私たちはベッドだけを借りる約束であったが
無理を言って特別に食事もお願いした

家族と同じものでと言う事で
三食の食卓を共にさせて頂いた

6人の子供と12人の孫を持つ
リチャード(
65)は
今も現役の教師である

子供たちは毎日のように
両親の家へ食事に来る

長女のメリー(30)は
ロドリック(
6)とハリー(2)の
二人の男子の母親 

昼は幼稚園の先生をしているので
ハリーはいつも
リィチャード家に預けられている

遥か遠い日本から訪れた

私たちにさり気ないもてなしかも知れない

出逢いとは素晴らしいドラマだ 

幸せな家族に包まれ

シシュマレフ島に又一軒親戚が増えた

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リチャード・エドウィン・スタセンコ家

アメリカ合衆国 シシュマレフ島_セーパティムリバーアドベンチャー1

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アメリカ合衆国 シシュマレフ島(49島目)

リバークルーズの岸は湿地帯

猟銃を持ってカリブーを探しに行く

カモを両手に

カリブーを探すロビー

ジャコウウシ

河の両岸には多くの鳥たちが住む

リバークルーズ

フィィッシュネット仕掛ける

サンドバギーも積み込む

このボートで北極海を渡る

ここをクリックするとスライドショーが始まります

夏から秋へと駆け足で移り変わっていく
 
もうすぐマイナスの
フリーザーの世界に変わる

ボートは川を逆上っていく
デニスが銃に散弾を込め狙い定めた

「ダン・ダン・ダン」と
目にも止まらぬ速さで引き金を引く 

一羽の鴨が川に落ちてきた 
タイミングよくロビーが掴み取る 

自然の中で偶然に出会う
野生動物の姿はやっぱり違う 

その場を立ち去りがたく
デニスに先を急がされた 

時々ボートを止めては双眼鏡を覗く二人
どうやら今日の獲物の
カリブーを探しているらしい 

地平線まで広がる紅葉の絨毯 
ロビーが「先週まではグリーン一色」
だったと…

ダイナミックな草原の紅葉は
私たちが来るのを待っていたかのように……
 

アラスカの西の端の北極圏は
未知への魅力が溢れている

ボートの速度が急に落ちた
右岸の草原にジャコウ牛が3頭
 
草原で草を食み太陽の光に
毛並みが揺らいでいる 一頭が走り出した

 颯爽と駆ける姿は勇壮である 

角を突き合わす他の2頭 
野生の動物を邪魔するものは何もない 

敵と言えば人間ぐらいだろう

出発してから行き交うボートは一台もなし

ヘアーピンカーブの川を上るたびに
多くの鳥が飛び立つ 

白鳥の群れ
,かも,かもめなど名も知らぬ鳥たちも
エンジンの音に驚き大空へ舞い上がる

シャッターチャンスは私の独り占め
地平線の彼方まで続く草原は雄大で美しい 

これだけの種類の鳥たちが住む川に

,
めったに人間は来ないのだろう

ラグーンとは言え波静かではないが
天気だけには恵まれた

北極海は貸しきり状態でただ一艘 

ライフジャケットも何もない
ワイルドなアドベンチャー 

何が始まるのか分からないが興味が湧く 

川の入口でフィッシュネットを仕掛け
,

リバークルーズは穏やかに
流れる川を滑るように進む 

突然,朝9時にデニスが
「今日ハンティングに行くよ」と現れた

慌てて用意をしてサンドバギーで
島の東端へと向かう

砂の島は地球温暖化で少しずつ面積が
削り取られているのが分かる 

「ランチボックス」と銃が二丁
(散弾銃と動物用の強力なヤツ)

その上サンドバギーまでボートに積み込む

シュマレフ島から手作りボートで
アラスカ本土へ向かう
(スクリューはヤマハの200馬力)

ボートの持ち主はロビーニンゲック
(デニスの友人40大工) 

もちろんリチャードの息子の

デニス(39)も一緒である 

昨夜から吹き荒れていた台風のような風は
ウソのような上天気

Serpentime River

岸に上がったロビーはもう一羽を
手にぶら下げていた 

デニスが指を指すその先さらにもう一羽 

我々には何も見えないがエスキモー人には

草原の中で羽をばたつかせているのも
見えるらしい 

百発百中の腕前 
リバーアドベンチャーはまだまだ続きまっせ

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セーパティム・リバーアドベンチャーⅠ

アメリカ合衆国 シシュマレフ島_セーパティムリバーアドベンチャー2

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アメリカ合衆国 シシュマレフ島(49島目)

シシュマレフ島の対岸の紅葉

本日の獲物

夜10時の美しい海

夜の10時に到着

フィッシュネットのテェック

カモの毛と内蔵の処理をするデニス

カリブーの角

寒さに耐えて2時間もボートの上で待つ小鉄

バギーの荷台には血の滴るカリブーの肉塊

カリブーの半身をボートへ投げ込むデニス

本日の獲物のカリブーの角

ロビーが迎えに行ってデニスと共に・・・

キャンプ小屋

待ちくたびれて座り込む筆者

シシュマレフの紅葉

ブルーべり・ブラックベリークランベリー

カリブを探しに行くデニス

当然の生活の知恵は水の貴重さを思い知らされる
食器を洗うよりスチロールの使い捨て
容器を使用するのもうなずける

太陽が水平線の彼方に沈み始める頃
ボートはやっと島に到着 

エスキモー人の顔は日本人の祖先と
よく似ていてとても親しみが持てる

大海原には我らのボートがただ一艘
シシュマレフ島に船先を向けている

ボートはスピードを上げ帰路へと急ぐ 
フィッシュネットのチェックも忘れず

,
魚のうろこと鴨の内臓は
海水で処理をしている

手袋をしていても凍るような冷たさも
素手で海水を使うエスキモー人に驚く

複雑な気持ちで血に染まった塊を
カメラに収めたが
多分明日の食卓にはお目にかかるのだろう

デッカイカリブーを仕留めた
デニスは満面の笑みを浮かべご機嫌である

日頃無口な彼はよほど嬉しかったのか
執念が実った

2時間30分船上で冷たい風に吹き晒されたが,
別に腹の立つことも無く
彼らと共に喜びを分かち合った

私たちは趣味の為
カリブーの写真の撮影に来たが
,

エスキモーは生きるため食料として獲る

銃で狙うかカメラで狙うか
目的は違っても北極圏で
,生きる為には

私もカメラを銃に持ち変えていただろう

現在は色々な食料を手にする事が出来るが
昔はカリブー猟が全てであった

アザラシもまた食料と越冬の為には
不可欠である

私たちには何も見えないが彼等には見えるのだ

エスキモーの生きる為の執念とでも言うのか
,
冬場の生き抜く為の生命力を感じる

遠くの方からサンドバギーのエンジン音が聞こえる
 バギーの荷台には真っ赤な血の滴る
「カリブー」の肉塊

大きな角は勲章でもあるかのように
頭蓋骨から切り離されている

誰もいない北極圏の草原は
改めて地球の広さを感じる 

時計は午後8時を過ぎているが
空は真昼のように明るい

遠くで銃声が三発轟いた 
それを合図にデニスからやっと
無線連絡が入る 

ボートでデニスのいる近くの岸へ移動 
膝まで水に浸かりながら遥か
彼方へと歩き出したロビー

じっとしておれずに歩いて丘の上に登って
探してみたが水平線まで物陰もひとつ見えない

丘の窪みに入ればその向うは死角になる 
諦めて待つしかない

紅葉の丘はブルーベリー
ブラックベリー・クランベリーの真っ盛り

 ベリーの絨毯の上に寝転び
小さな果物を口にした 

甘酸っぱい自然の香りは
口中いっぱいに秋を知らせる

川の流れは幾重にもなり
細くなったり広くなったり……

美しい紅葉の広がる丘に登り,
サンドバギーで探索に出かけるデニス

これで最後だからと言って丘の向こうに
走り去ったサンドバギーは
それっきり音沙汰なし

二時間を過ぎてもボートからの無線に応答なし
「何かあったのか?」…と
少し心配になってきた

Serpentime River

時刻はもうすぐ十時になろうとしている

バギーに繋ぐ荷車の周囲は海水で満ちている

沈み行く島を目の当たりにして
小鉄と二人複雑な気持ちで沈黙が続く

本日の狩の成果,鴨4羽,ホワイトフィッシュ4匹,
大型カリブー一頭……

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セーパティム・リバーアドベンチャーⅡ

アメリカ合衆国 シシュマレフ島_地球温暖化の犠牲の島

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アメリカ合衆国 シシュマレフ島(49島目)

海  鳥

海岸に打ち上げられた北極海のクラゲ

旧家屋の為の十字架のようである

難 破 船

鳥たちの遊び場もコンクリートで埋められる日が来る

クラゲの一種

砂の道で遊ぶ子供

ブロックを運ぶトラック

島の砂が波で削り取られないようにブロック工事

旧空港へ移築された家屋

砂の道

機械設備海岸の埋め立て用に

道路は全て砂

島を守るために海岸では
コンクリートブロックを積み上げ


,
北極海の島にまで
自然の景観は無くなりつつある 

この島を守る為には仕方の無いことかも知れない

冬には白熊も島にやって来る
シシュマレフは
,

本土からわずか5㎞しか離れていない

真夏でも北極海から吹き付ける風は冷たく,
廃屋になった家々は骨組みを
残す痛々しい姿のままである

旧空港の滑走路跡は
移築のされた家屋が残されている

年々海が凍り始める次期が遅くなり,
氷の解けるのが早くなっている

氷が解けて海氷が後退すると,
波が永久凍土を削り取っていく 

アラスカ西部の北極圏の島
「シシュマレフ」で、
1999年頃から海岸の浸食が進み、

家屋の倒壊が相次いでいる。

温暖化の影響は「砂の島」の

永久凍土をも削り取っている

アラスカ本土へ村ごと移住が決まっていたが

費用の関係で計画は暗礁に乗り上げたままだ

この島が犠牲にならない為にも
地球温暖化を防止するのは

人類一人一人の義務と責任であろう

そんな暗い顔を微塵も見せない
エスキモー人はバギーから
,

手を上げて今日も笑顔で走り去っていく

クリックするとスライドショウ

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地球温暖化の犠牲の島

アメリカ合衆国 シシュマレフ島_エピローグ

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アメリカ合衆国 シシュマレフ島(49島目)

ステイシーとゴットマザーが見送りに来てくれた

エスキモー人は日本人と良く似ている

最後の夕方もう一度二人で砂の道を散歩した

アザラシの毛皮で作った
民芸品をお土産に頂いた

スノーモービルの玩具

エスキモーダンスを踊るステイシー

お嫁に行く三女ステイシーと婚約者

エスキモーが作る民芸品

エスキモーの若者は骨の髄まで食べる
私と同年輩はコレストロールを気にして食べない

ロースとビーフ

カリブーの肉でロースとビーフを作るレイテェルと小鉄

カリブーの肉塊

悠々と草を食むジャコウウシ

8年前に廃屋となった跡

エスキモーダンスの練習

ここをクリックすると花のスライドショー

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2007912日~16日

                   旅の鉄人 池内嘉正

夕方にもう一度小鉄と二人砂浜を
ゆっくりと踏みしめて歩いた 

降り出して来た雨も気にもせず
,
顔見知りの島人と手を上げて挨拶を交わす

走り行くバギーの車輪の跡にも思い出が甦る

私の祖先はひょっとすると
この島民だったのかも知れない 

二人の足跡が永久に砂の道に
刻まれるほど踏みしめて歩いた

922日お嫁に行く三女のステイシーは
空港で最初に出逢ったエスキモー人

人の縁とは不思議なもの出逢いがあり別れがある 
人の出会い
,自然との出会い
明日は又違う出逢いが待っている 

旅はこれだから面白い

多くの家族に囲まれ笑い声の絶える日が無い
「リチャード家」。

日々の暮らしの中に貴重な体験の数々

,
ファミリーのお陰で旅先での
アットホームなエスキモーの生活を垣間見た

日本からの珍客を持て成す素顔の生活スタイル

豪華な食事よりエスキモーの
日頃の生活を垣間見た旅の経験は数少ないひとつ

6時間をかけて調理してくれた味は
軟らかくて臭みも無く肉もしっかりとしていた

ゴッドマザー「レイチェル」(61)の

愛情たっぷりの手料理に

舌も幸せをじっくりと味わった 

脂身の少ない部分は鹿肉のようであり

,
デニスは骨を砕きその髄までしゃぶっていた

民宿でもないのに格安の料金で
一部屋を提供して頂いたリチャード家
,

家族同然の扱いにお礼の言葉も無い

貴重な体験はこれからの人生の中で
何かの恩返しを「地球」の為にしなくてはならない

最後の晩餐はカリブーのローストが
食卓を飾ってくれた 

肉塊のさばきも手馴れたもの
ノコギリで骨まで切り刻んでいく調理に

小鉄も舌を巻いていた

8年の風月は廃屋の跡形も無く
骨組みの一部を残すのみである

島を捨てた島民はすでに本土へと移住している
島の暮らしは決して楽ではないが

シシュマレフで生まれ育った
エスキモーはこの島が好きなのだ

使い捨てられたバギーや
スノーモービルはゴミの山となり
,

空き缶はところかまわず
ポイ捨てられ写真を撮るのも忍びない

小鉄のひとり言

リバークルーズでの紅葉は圧巻であった 多くの鳥たちと野生のジャコウ牛とも出逢えた

北極海の往復とも一艘の船にも出会はなかった貸切の海

一週間で一気に紅葉する時期に出逢えたのは幸運でした

ブルーベリー・ブラウンベリー・クラウンベリーの上に寝転がった爽快さは生涯思い出に残るでしょう。ありがとう「リチャード家」の皆さん……。

豆知識

カリブー

サンタが乗っているのは「トナカイ」,野生のトナカイをカリブーと呼ぶ

家畜としては飼育されているものを「トナカイ」と言う

カリブーは雄にも雌にも角がある

ジャコウウシ

牛という名がついているがヤギと羊の仲間

北極圏の島シシュマレフの5日間,
自然との闘いと言うより

自然に溶け込んで暮らしているエスキモー人

地球温暖化の影響で

削り取られていく島は悲鳴を上げている

14軒はすでに廃屋と化し

人間の住めるところでは無くなりつつあるのは
この目でしっかりと確かめた

もっと早く出逢いたかった島人に
心から「コヤナ」(ありがとう)QUYAN

リチャードと硬い握手を交わし空港へと向かう

運転は三女の「ステイシー」
ゴッドマザーの「レイチェル」も見送ってくれた

故郷を後にするような気持ちで
胸が熱くなり見送りの二人の顔が滲んで見えた
 

エピローグ